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Autodesk 社、テクノロジーセンターに QC20 ボールバーによるテストを導入

レニショーは、設計および製造ソフトウェア大手 Autodesk 社と連携し、Autodesk 社が北米 2 箇所に所有するテクノロジーセンターで機械のキャリブレーションを強化している。サンフランシスコとトロントにある Autodesk 社の各チームが、機械のキャリブレーションを行うための手段として、レニショーの QC20 ボールバーを導入した。

Autodesk 社では、研究開発やワークフローの検証を行うためのテクノロジーセンターを北米と欧州で 4 箇所運営しており、施設間で知見と機材を共有している。建築、エンジニアリング、建設と運用、先進的な製造、ロボティクスなど、センターごとに重点分野が異なる。

サンフランシスコ (米国) の Autodesk 社のテクノロジーセンターで Manager を務める Mary Elizabeth Yarbrough 氏は以下のように話す。「当社のテクノロジーセンターには、高度な機器を駆使してデジタルワークフローを検証する専門の研究・設計エンジニアが常駐しています。私たちの研究は、ソフトウェアの使用状況を理解するだけでなく、ワークフローの開発と検証を通じてその可能性の限界を押し広げることにも役立ちます」

機上でテストを行っている QC20 ボールバー
Autodesk 社とレニショーのスタッフと QC20 ボールバー

Autodesk 社は、キャリブレーションと計測について詳しく理解するために、レニショーをサンフランシスコのテクノロジーセンターに招き、北米チーム向けにボールバーのトレーニングを受けた。

4 日間の研修では、レニショーのチームから精密計測に関する専門知識の講習を受け、ボールバーのセットアップ、基礎的な計測、ゲージの反復性と再現性、幾何寸法と公差、そして統合について学んだ。この研修で、3 台の機械 (Mazak、Haas、Matsuura) に対してレニショーの XM-60 マルチアクシスキャリブレータと QC20 ボールバーでテストを実施したところ、1 台でずれがあることが判明した。

ずれの補正

工作機械は、輸送中や稼働中にアラインメントがずれることがあり、環境の影響および摩耗や劣化などによってもずれることがある。サンフランシスコのテクノロジーセンターは試作に特化している施設である。扱うワークは、その大半が公差の広い単発のものであることから、機械が正しくキャリブレーションされていなかったとしても、そのことが必ずしもわかるわけではない。

「サンフランシスコには地震のリスクがありますので、当社の工作機械はすべて耐震固定されています」と、サンフランシスコのテクノロジーセンターの Senior Research and Design Engineer である Orion Beach 氏は説明する。「この固定作業によって工作機械のアラインメントがずれることがあります。機械の底部に加わる変化が、性能全体に連鎖的な影響をもたらすことがあるのです。

トロントのテクノロジーセンターの Senior Research and Design Engineer である Brian Jeong 氏は、トロントにおける工作機械のキャリブレーションの課題について次のように述べている。「当施設は 3 階にありますので、サイズと重量に制限のあるエレベータで機械を運び上げます。そのため、工作機械を分解してから上階に運び、加工現場で組み立て直すことが多く、そこでキャリブレーションが必要になるのです」

QC20 ボールバーの適用

Autodesk 社は、サンフランシスコのテクノロジーセンターにおいて QC20 ボールバーを使用して機械精度をチェックする作業の支援をレニショーに依頼した。ボールバーテストなら、CNC 工作機械の位置決め性能を短時間で確認できるため、時間の経過に伴う機械の状態を測定し、追跡するのに役立つ。収集したデータからは、国際的な機械性能基準 (ISO 230-4 および ANSI/ASME B5.54) に準拠して総合的な位置決め精度 (真円度、真円度誤差) を算出できる。

QC20 のセットアップの様子

「QC20 ボールバーは、両端に精密球を取り付けた伸縮式のリニアセンサーです」と、レニショーの Industrial Metrologist である Denis Vasilescu は説明する。「一方の精密球を機械テーブルに据え付けたセンターピボットに、もう一方を機械主軸または主軸ハウジングに装着して使用します。QC20 ボールバーが、プログラムされた円形パスをたどり、径方向の微細なばらつきを計測します。工作機械の性能を迅速かつ効果的に検証する手段であり、オペレータが誤差の原因を診断し、問題解決に向けた予防対策をいち早く実施するのに役立ちます」

驚くべき結果

QC20 ボールバーとソフトウェアを活用することで、サンフランシスコのチームは、技術者を呼ばなくても 10 分もかからずに機械の状態をチェックできるようになった。

サンフランシスコでのボールバーテストによって、1 台の機械にずれが見つかり、固定作業の全工程がいかに重要であるかが浮き彫りになりました。この結果は衝撃的であり、精密計測による安全対策を実施することの明確な価値を証明するものでした。私たちはこの結果を用いてすべての問題に取り組み、解決しました。

Mary Elizabeth Yarbrough 氏
テクノロジーセンターの Manager (北米)

QC20 ボールバー使用中のレニショーと Autodesk 社のエンジニア
そしてその後、レニショーは Autodesk 社の依頼を受け、トロントのテクノロジーセンターに新たに搬入された CNC 機械のメンテナンスとアライメントをサポートした。

トロントのテクノロジーセンターの Research and Design Engineer である Jamie Nicholson 氏は、QC20 ボールバーの精度について、以下のように強調する。「QC20 ボールバーテストと再キャリブレーションの結果、機械の加工精度が非常に高くなりました。自社の工作機械の精度に対する自信が増しました。ボールバーテストを実施して CNC 工作機械から精度の高い部品を確実に製造できるようになり、機械のダウンタイム、スクラップ、検査コストが減りました」

当プロジェクトの成果に満足したサンフランシスコとトロントのテクノロジーセンターは、次の段階として、ボストンのテクノロジーセンターで QC20 ボールバーを使用することを検討している。Autodesk 社のチームは、将来的には北米の各施設でこの機器を共有し、四半期および年次の保守作業に加え、機械の導入時にもボールバーテストを取り入れることを計画している。

このプロジェクトにおいて、レニショーは当社の機械のキャリブレーションで大きな力を発揮してくださいました。当社は長い年月を経て、レニショーさんと強固な信頼関係を築いており、同社の製品、サービス、専門知識がまさに世界水準であることに大きな信頼を寄せています。

Adam Allard 氏
(Autodesk テクノロジーセンター (北米) の Senior Manager)

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