レニショーと Hartford 社、インテリジェントな「スマートファクトリー」ソリューションを目指して連携
背景
1965 年に設立された Hartford 社は、台湾最大の CNC マシニングセンター輸出企業であり、同国最大のマシニングセンターメーカーでもある。技術革新に定評があり、CNC 加工業界の世界的なリーディングブランドのひとつとして評価されている。
同社の工作機械は、エアバス、ボーイング、CRRC (中国中車)、フェラーリ、フォード、フォックスコン、LG、プラット&ホイットニー、サムスン、シーメンス、フォルクスワーゲンなどの大手メーカーで広く使用されている。
インダストリ 4.0 技術の進展と世界的な熟練労働者不足を受け、Hartford 社のような先進的な CNC 工作機械メーカーは、自動化、つながる化、データの透明性、そして使いやすさに一層重点を置くようになっている。
だが、インダストリ 4.0 が掲げる「インテリジェント製造」や「スマートファクトリー」の目標を達成するためには、正確で効果的なプロセスコントロールシステムが不可欠である。それらは使いやすく、プロセスの変動要因に対して自己修正や適応を可能にするための十分な即時データを取得できるものである必要がある。

「インテリジェント製造」の実現
ヨーロッパ、北米、アジア太平洋地域の 65 か国に 46,000 台の工作機械を輸出してきた Hartford 社だが、急速な技術革新や経済変化、そして激しい国際競争の中で、自社製品の非常に高い品質を維持することは、同社にとって重要な課題となっている。
台湾の製造拠点では、航空宇宙、自動車、電子機器、エネルギーなどの主要産業分野向けに、中型から大型の 3 軸および 5 軸 CNC 工作機械を幅広く製造している。ラインアップとしては、立形マシニングセンター、精密中ぐり盤、門形機などを展開している。
同社では鋳造部品の 95%以上を内製しているため、機械ヘッド、主軸、自動工具交換装置などの機械コンポーネントに求められる精度を達成するには、継続的かつ段階的な品質検査の取組みが不可欠である。
熟練労働者の深刻な不足に直面する顧客を支援することは、Hartford 社にとってさらに重要な課題となっている。同社で R&D Intelligent Technology Department で Manager を務める Bruce Lin 氏は次のように説明している。「当社の顧客が行っている加工は、複雑化する一方であるものの、熟練労働者の不足により、簡単に操作できるマシニングセンターを強く求めざるを得ない状況にあります」
レニショーアプリを実装したインテリジェントな HMI
Hartford が近年、インテリジェントな CNC コントローラの研究開発に多大なリソースを投入し、開発に至ったのが Hartrol Plus である。Hartrol Plus はスマートフォンと同じくらい簡単に操作できる。
Hartrol Plus の HMI は、インダストリ 4.0 が奨励する主要な設計原則に従っており、技能不足への一助となる。機械オペレータが適切な判断を下すために必要なすべての情報が画面上に視覚的に表示されるため、オペレータはより的確な判断を行い、問題をより迅速に解決できるようになる。
Hartford 社の新しいコントローラにはレニショーのオンマシンアプリケーション Set and Inspect が統合されており、工作機械を直感的に操作して自動計測やデータ収集といった高度な機能を実行できるようになっている。Set and Inspect は、アイコンや画像を操作画面に豊富に使ったグラフィカルユーザーインターフェース (GUI) であり、ワークの芯出し、工具計測などのオンマシンプローブ計測作業についての指示をオペレータ向けに順を追って表示する。
機械コードを暗記する必要がなく、入力ミスが減り、プログラム作成時間が短くて済むようになる。加工効率の最大で 20%向上が期待できる。Hartrol Plus は高い評価を受け、これまでに 1,000 台以上販売されている。


新しい Hartrol Plus コントローラは、当社機械の操作性を高める目的で設計されています。グラフィカルなユーザーインターフェースを介して、工作機械用プローブ計測ルーチンを簡単にプログラミングできる Set and Inspect は、打ってつけの追加装備です。
Hartford 社 (台湾)
高品質な CNC のための高精度計測
Hartford 社がレニショー製品を使い始めたのは 20 年以上前にさかのぼる。以後、同社が目指す高い品質目標を達成するために、多種多様なレニショーの高精度計測システムを導入してきている。
同社では、加工品の精度チェックを、レニショーの三次元測定機用プローブである PH20 を使って行っている。チェックによって組付けに問題ないことを確認したうえで、加工品を組付けラインに投入している。
工作機械の精密な組立てと位置決めも極めて重要であり、5 軸工作機械では、位置決めの誤差が±6µm 未満でなければならない。機械の位置や位置決め誤差、角度誤差の測定には XL-80 が使用されている。XL-80 は、英国国内規格と国際規格に準拠した波長を持つ、極めて安定性が高いレーザービームを照射するシステムである。安定したレーザー光源と精度の高い環境補正により、±0.5ppm の位置決め測定精度を保証している。また、Hartford 社では、レニショーの QC20 ボールバーで動作速度を変えながらテストを行い、工作機械の X 軸と Y 軸の精度を確認し、誤差を 5µm 未満に抑えている。

Hartford 社は出荷前に、レーザー測定システムとボールバーを使って機械の全数検査を行っているだけでなく、顧客のワークをレニショーの工作機械用プローブ OMP40、OMP60 および RMP60 で計測し、加工精度を検査することもある。
回転軸補正のための AxiSet™ Check-Up
また Hartford 社では、機械の回転軸の精度分析を行うために、レニショーの AxiSet Check-Up を使用している。一般的な 5 軸機や複合機のための、回転軸の回転中心を検出し、必要に応じて自動補正をかけることができるソフトウェアである。
AxiSet Check-Up の特長のひとつとして、オペレータの経験値に依存せず、誰がやっても簡単に操作できることが挙げられる。プログラムを呼び出し、サイクルスタートボタンを押すだけで、テストがわずか数分で完了する。テスト結果のデータは自動で記録され、分析することで、製造する工作機械の標準化にもつなげられる。
「据え付けた機械の回転軸のテストには、AxiSet Check-Up を薦めています。工場の状況が、基礎や水平度など、当社の製造環境と大きく異なる可能性があるからです。また、出荷や据付け作業によって精度誤差が発生することもあります。それに対して AxiSet Check-Up では自動補正を行えるため、高精度と高品質を維持できます」(Lin 氏)
Lin 氏は以下のように続ける。「工作機械は、使用に伴う摩耗やドリフトを避けられません。時間とともに位置決め精度のレベルは低下し、加工精度も低下してしまいます。だから、加工精度を維持し、生産性を高く保持するために、AxiSet Check-Up を使った半年または 1 年に 1 度の定期チェックをユーザーさんには推奨しているのです」

Hartford 社は、世界をリードする自社ブランドの CNC 工作機械の製造において、厳格な品質検査への継続的な取組みとして、最新の測定技術を積極的に採用してきた。
先進的なレニショー製測定ソリューションを長年にわたり活用し、グローバルな競争力を維持し続けているが、この姿勢こそ、Hartford 社が掲げる企業理念「最高水準の機械をつくるために、私たちはここにいる」を体現している。
