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Linex Manufacturing 社、金属 3D 印刷で製作したカスタムスタイラスで Equator™ 検査の課題を克服

Linex Manufacturing 社は、レニショーの Equator™ 300 自動ゲージングシステムを導入することで、検査に求めていた速度と精度をすべて実現した。しかし、Equator™ 300 の大型版である Equator™ 500 が登場する以前、ワーク先端のボルト穴が可動範囲からわずかに飛び出してしまいワークが収まりきらない状況が発生していた。その事態解決に役立ったのが、積層造形で製作したカスタムスタイラスだった。

背景

世界有数の自動車パーツメーカー Linamar 社の一部門である Linex Manufacturing 社は、世界各地の製造工場で複数台の Equator システムを使用しており、カナダのオンタリオ州にある拠点では、さまざまな精密加工自動車パーツを製造している。

同社の主力事業は、中型および大型の商用車両向けオートマチックトランスミッションパーツの製造だ。グローバルトランスミッションメーカー各社を顧客として抱えており、巨大な生産規模を誇る。

Linex Manufacturing 社が初めて Equator 300 ゲージングシステムを購入したのは 2015 年のこと。当時は 2 台を導入し、その後 2017 年、週 5 日、8 時間稼働×3 交代シフトという新しい大型プロジェクトが始動すると、生産台数の引き上げに合わせ、Equator 300 をさらに 4 台購入した。

Equator 300 は毎秒 200mm を上回るスキャン速度を誇り、対応温度範囲は 5ºC~50ºC、直径 300mm、高さ 150mm、重量 25kg までのワークに対応できる。

Equator 300 は、さまざまな製造工程内でのインプロセス測定や主要なパーツ形状の検査で高い頻度で活用され、それにより、ラボ内に設置された高性能三次元測定機の負荷が減り、三次元測定機にしかできないタスクに、より一層割り振ることができるようになった。

このプロジェクトを機に、Linex 社は可動範囲がさらに広いレニショー Equator 500 ゲージングシステムを導入し、最大で 4 倍の重量がある自動車用ワークを検査したカナダ初の企業となった。

課題

レニショーのアプリケーションエンジニアに相談する Narcis Georgescu 氏 (Linex 社の Senior Quality Supervisor、右)

レニショーのアプリケーションエンジニアに相談する Narcis Georgescu 氏 (Linex 社の Senior Quality Supervisor、右)

Linex 社は Equator ゲージングシステムを導入したことによって生産性が大きく向上し、生産能力と検査工程のスループットが増大した。

同社の Narcis Georgescu 氏 (Senior Quality Supervisor) は、想定外の課題について以下のように説明する。「フロントサポートアセンブリというワークで、別のワークとの嵌め合わせに必要な一連の 11mm ボルト穴を詳しく検査する必要がありました。要求精度が非常に高かったため、徹底的に検査する必要があったのですが、困ったことに、そのボルト穴が Equator 300 の可動範囲からわずかに飛び出していたのです。

この課題を克服するために、最初は、複数の部品を取り付けた独自の L 字型構成にして検査範囲を広げてみました。上手く行くかと思われましたが、時間が経つにつれて、予期せぬ計測の不確かさが生じてしまいました」

積層造形されたカスタムスタイラスのデザイン

積層造形されたカスタムスタイラスのデザイン

解決策

レニショーのエンジニアが協力し、Equator システムの計測テストを徹底的に行い、システム自体の繰り返し精度の検証を行った。そして、ボルト穴の検査に特化した堅牢なスタイラス構造が必要であるという結論に達した。

複数のコンポーネントを使用してプローブを構成すると剛性が不足すると判断し、レニショーからは、金属積層造形を利用したカスタムスタイラスの開発を提案した。

3D CAD ソフトウェアで設計したデジタルイメージを基に、カナダのオンタリオ州にあるレニショーのソリューションセンターで Z 型のスタイラスを作製した。一体成形のモノリシック構造になっており、内部は軽量化と誤トリガー防止のために格子状になっているスタイラスだ。

このスタイラスは、レニショーの RenAM 500Q システムを使用して、金属粉末床融解またはレーザー溶融と呼ばれる処理により高強度のチタン合金粉末から短時間で作製した。

こうしてレニショーは、鋳造、鍛造、機械加工といった従来の製造技術を使用することなく、複雑構造の一体成形のスタイラスを速やかに Linex 社に提供した。

結果

カスタム設計の積層造形スタイラスを導入したことにより、Linex 社は、Equator 300 の可動範囲から飛び出たボルト穴を検査するのに必要な精度および繰り返し精度を得ることができた。

Narcis Georgescu 氏は以下のように述べる。「チタン積層造形による堅牢な一体成形スタイラスのおかげで、ワークの検査がすべてできるようになり、私たちが成し得なかった軽量性と剛性を両立できました」

導入から数年が経つものの、この積層造形スタイラスは現在も稼働しており、性能の低下は一切見られていない。Linex 社は、まったく同じデザインの積層造形スタイラスをもう 1 本購入し、現在は Equator 300 システム 6 台と Equator 500 システム 1 台を運用している。

積層造形スタイラスのおかげで生産性が劇的に向上しました。私たちはこの経験から、ボルト穴のサイズや位置が規格外であることを理由に対応を断ることが大きな機会損失になるということを実感しました。現在、ボルト穴検査に関する当社の精度および繰り返し精度は依然として許容限度内であり、周囲温度に関係なく、安定性は 5% の限度内を維持しています。

Linex Manufacturing 社 (カナダ)

積層造形したスタイラスを搭載した Equator 300 による自動車パーツの検査

RenAM 500Q システムで作製したカスタムスタイラス

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