Standard Tool & Mold 社が手に入れた確かな工具計測
背景

小さな機械加工メーカーとして、カナダのオンタリオ州 Windsor で 1997 年に創業した Standard Tool & Mold 社。今ではカナダ、中国、米国に施設を持つグローバル企業へと成長している。
Standard Tool & Mold 社の Engineering Manager である Nathan Dyck 氏は、「最近は、製品の製造に加えて製品開発支援も行っており、お客様が求めているとおりのものを提供すべく努力しています」と述べる。
自動車/大型トラック業界からよく受ける依頼のひとつが、当社が 3 軸および 5 軸 CNC 加工機で製造しているプラスチック射出成形用金型の製造である。同社は、さまざまなサイズの C フレーム型およびブリッジ型 CNC 加工機を取りそろえており、小規模、中規模、大規模な機械加工プロジェクトに使用している。中には、0.5mm の精細な切削を含むプロジェクトもある。
「当社では、2006 年よりレニショー製品を使用しています。機械を新規購入したときに、NC3 ツールセッターがすでに搭載されていたのです」と Dyck 氏は言う。
一方、レニショーカナダで Business Manager を務める Brad Linscott は次のように説明する。「非接触式工具計測システムでは、工作機械に設置した送光ヘッドと受光ヘッドの間にレーザービームが照射され、このレーザービームを切削工具が通過します。工具がビームを通過することにより、レーザービームが受光ヘッドに到達するのが遮られ、その後レーザービームの外に移動することにより、レーザービームが再び受光ヘッドに到達します。これによって生成されたトリガー信号によって機械の位置がラッチされ、工具の寸法と形状を判断するのに必要な情報が取得されるのです。
NC4 を使えば折損した工具の検出も可能です。レーザービームが遮断されない場合は、工具の先端が欠けている、ということになります」
課題

加工精度を左右する要因として、工具サイズの偏差、工具の振れ、工具折損などがある。このような要因はレニショーの NC4 システムを使用することで制御できるようになり、加工時に使用する実際の送り速度や回転速度でさまざまな工具を計測できるようになる。また、小径工具やデリケートな工具にとって重要な要素である、過度な摩耗や折損のリスクを最小限に抑えられるようにもなる。
「金型の不一致を防ぐために、工具ごとのばらつきを確実に取り除く必要があります」と Dyck 氏は言う。「当社では、機械加工を自動化していることが多く、そこではオペレータが関与しないため、工具交換が正確に行われ、うまく馴染んで金型に痕が残らないことが求められます。
当社の機械は、1 年の大半で 24 時間稼働しているため、レーザーシステムに対する要求が厳しいのです。機械に取り付けたレーザーシステムがひとつでも不具合を起こせば、レニショーさんに連絡して交換すべきかどうかを調べてもらいます」
解決策

NC4+ Blue は、業界初のブルーレーザー技術が搭載された非接触式工具計測システムである。光学系が改良されており、最大間隔 240mm をラインナップしている。また、エアブローを内蔵しており、工具計測の精度が飛躍的に向上している。計測できる最小径はØ0.03mm であり、繰り返し精度は±0.5µm 2σ を誇る。大きなシャッタも使わない保護機構で、コンパクトであることから、取付けスペースが限られた機械に最適である。
Linscott は以下のように説明する。「従来の非接触式工具計測で使用されるレッドレーザーと比べて、ブルーレーザーは波長が短いのが特徴です。そのため、回折の影響が改善し、レーザービームの形状が最適化されています。その結果、非常に小さな工具も計測できるようになり、複数の工具を使っている企業にとっては大事な検討事項である工具タイプごとの計測誤差を抑えることができました」
Nathan 氏から話をいただいてすぐ、新製品の NC4+ Blue がぴったりだろうと思いました。NC4+ Blue は、高精度かつ高速の工具計測/工具折損検出で、さまざまな工作機械でのプロセスコントロールを実現します。Brad Linscott (レニショーカナダの Business Manager)
結果

レニショーが NC4+ Blue を供給した。それにより、小径ボールエンドミルの長さを正確に計測できるようになり、そして工具タイプごとの計測誤差の問題も解消した。
NC4+ Blue にはさまざまな種類のコネクタや取付け方法が用意されており、既存機械へのレトロフィットに最適である。加えて、最新の非接触式工具計測ソフトウェアには新しいデュアル計測モードと自動最適化技術が組み込まれている。そのため、クーラント環境下でも高速かつ信頼性の高い計測が可能になっており、Standard Tool & Mold 社の過酷な加工環境という課題にも対応できる。
Dyck 氏は以下のように続ける。「NC4+ Blue は、導入以来ずっとその精度を保っています。導入した機械では、クーラントチップと切り粉の両方が出るのですが、NC4+ Blue はこの過酷な環境にもびくともせず、非常に正確で繰り返し精度に優れています。NC4+ Blue の動作は非常に良好で、これまでトラブルは一度もありません。清掃やメンテナンスのために加工を止める必要がまったくないのです」
Dyck 氏はさらに付け加える。「レニショーさんのチームが当社の現場を訪れ、私たちのシステムが順調に稼働していることを確認し、そして品質を改善し得る方法を提案してくれました。また、ある機械でハードドライブが故障したときも、別の新しい機械のソフトウェアを既存の NC4+ Blue に接続してくれました。
迅速な対応に感謝しています。レニショーさんの製品だけでなく、優れたサポートもまた、当社の業務の正確性と繰り返し精度を維持するのに欠かせません」と Dyck 氏は締めくくる。