森精機、レニショーボールバーで最高水準のカスタマサービスを実現
ハイスペック工作機械の開発から製造を手掛ける世界的大手森精機グループ。1948 年の創立以来、同社が世に送り出した機械は 185,000 台以上にのぼる。
工作機械を提供するだけでは、顧客が求める生産活動に完璧に貢献できているとは言えない。これが、これほどの納入実績がある森精機の認識である。そこで同社では、機械の開発と製造と同様にハイレベルなサポートサービスを提供するために、世界各地に点在する 400 人超の専従スタッフからなる世界規模のサポート体制を整えている。
森精機は極めて高いレベルのサービスで評価されており、パーツ&サービスセンターを日本国内に 2 箇所、欧州とアメリカに計 5 箇所、アジアに 3 箇所構えている。これらのサービスセンターが、日本国内 44 箇所、海外 57 箇所にあるテクニカルセンターを全面的にサポートしている。そしてこのテクニカルセンターでは、高度な訓練を受けたサービススタッフが即応体制で待機している。
「グローバルワン」と呼ばれる最新のビジネス戦略の一環として、カスタマサービスのレベルを一層向上させるべく、森精機が力を注いでいるのが機械の高精度化とその精度の維持だ。そのためには レニショー QC10 ボールバーの広い範囲での活用が不可欠だ。
QC10 ボールバーは、国際的に認知されている、工作機械の位置決め性能を診断するためのシステムである。QC10 ボールバーの採用以前、森精機では、テストパーツをテスト対象の各機械で測定することで機械性能を検証していた。このテスト方法は有効ではあるが、長い時間が必要であったし、測定結果を読み解くのに経験が必要でもあった (診断ミスが珍しいことではなかった)。
現在、同社の工場だけでなく世界中のサービスセンターやテクニカルセンターで使用されているのが QC10 ボールバーだ。持運びが非常に簡単で、使い方も簡単、さらに機械性能について詳細情報を得られるテストを短時間で実施できるシステムである。
加えて、QC10 の診断用ソフトウェアを使うことで、バックラッシュやサーボミスマッチといった機械偏差を数値化し、それを軸別に出力できる。これにより、わずかな経験しかないオペレータであってもテスト結果から良し悪しを、確実にそして常に判断できる。QC10 で送り速度別に機械精度を比較することで、時計回り、反時計回りの位置決め性能、そして総合的な位置決め性能を簡単に検証可能だ。
幅広い場面で使えるツール
森精機では現在、最高性能を確保するために出荷前に QC10 で機械をテストすることがルーティーンになっている。テストの結果で仕様外と判断された機械は、QC10 による解析結果を基に直ちにそして効率的に補正される。QC10 を使うようになったことで、従来の検証方法よりも非常に短い時間で補正が完了するようになっている。また、顧客の現場に設置したばかりの新しい機械も QC10 によるテスト対象だ。輸送や設置作業で機械性能が変化することがあるからだ。さらに、QC10 ボールバーは、テクニカルセンターのスタッフの修理業務に使われることが多くなっている。短時間で診断を行えるため、修理やメンテナンス作業の速度があがり、顧客に仕様どおりの性能で安心して機械を使用してもらえる。
代えのきかない、アフターサービスツール
森精機のカスタマーサポート業務にとって、レニショーボールバーの重要性が増していることは間違いない。直近の過去 2 年、QC10 の納入台数は世界で 30 台以上にのぼる。結果、顧客がトップクラスの工作機械だけでなく、トップクラスのサポートも手にできるようになった。さらに最近では、使用面でのメリットが一層ある、QC20-W ワイヤレスボールバーシステムを更新導入するに至っている。
背景
レニショーボールバーのテストでは、工作機械で CNC プログラムを実行し、指定半径の円を描く。ボールバーは、特殊な磁気ボールと磁気カップマウント部を介して、機械主軸とベット間に連結される。機械がプログラムで指定された円を描くのと同時に、ボールバーが円の軌跡をモニタする。そして、「完璧」な円からの偏差を専用ソフトウェアの Ballbar 20 が記録する。機械がどの程度正確に円形のパスを辿れたかが、機械の位置決め性能の目安となる。また、ソフトウェアでは、19 種類の誤差原因をそれぞれ特定することや、各誤差原因からなるトータルの誤差量を算出することができる。