機械パフォーマンスの向上に一役買う、干渉計を使った空間補正
背景
BOST Machine Tools 社はスペインの Gipuzkoa に拠点を構える優良メーカーである。同社の機械は、複雑パーツや高価値パーツが扱われる分野で活用されている。
BOST 社では、製造する機械の品質確保のために、自社現場や客先現場での据付けやセットアップに際してレニショー製のキャリブレーション製品を頻繁に使用している。例えば、レーザー干渉計による空間補正などである。
課題
ものづくりでは、生産リソースのフレキシブル化と高精度化が模索されている。このトレンドを抑えるため、BOST 社では、繰り返し精度を高め、幾何誤差を最小限に抑える必要があった。幾何誤差の原因としては製造時のミスや摩耗などが考えられ、機械の位置決め誤差につながるおそれもある。
そこで BOST 社がその対策として導入したのが空間誤差補正である。複数のポイントと方向から機械の空間偏差を測定し、補正する工程である。機械に合わせてカスタマイズし、熱安定性などを明確なものとする。
空間誤差補正を行うことで加工プロセスの精度が上がり、品質の向上、良品率のアップ、生産コストの低減が期待できる。
解決策
BOST 社は、自社で製造する立形旋盤の空間誤差補正に、XM-60 マルチアクシスキャリブレータを導入した。導入によって、検証にかかる時間が数日から数時間に短縮し、機械のキャリブレーションにかかるコストを削減できた。
XM-60 マルチアクシスキャリブレータは 1 回のセットアップで、1 軸の 6 自由度 (位置決め、水平/垂直方向の真直度、ピッチ、ヨー、ロール) をまとめて測定できる装置である。X、Y、Z 軸の合計では 18 となり、QC20 ボールバーと XK10 アライメントレーザーシステムを使ってさらに 3 点測定しており、計 21 点を測定して機械の空間誤差を補正している。
レニショーのキャリブレーション製品で、平均よりも短い時間で作業できるようになったため、コストの削減になり、熱ドリフトなどの問題も最小限に抑制できた。
工作機械の空間補正を実施することで、機械のパフォーマンスを大幅に向上することができ、さらにはプロセス全体の最適化が図れます。
BOST Machine Tools 社 (スペイン)
最後に
レニショーでは、プロセスの基礎、段取り、工程内、工程後など、生産プロセスのあらゆる段階で活用できる製品やシステムを豊富に取りそろえている。
プロセスの基礎の段階で極めて重要な役割を果たすのが、キャリブレーション製品やソフトウェアである。レニショーは空間補正のエキスパートであり、工作機械のパフォーマンスを維持し、高効率な加工を実現するためのさまざまなツールを提供している。空間補正は、機械の加工空間全体を管理した環境条件でキャリブレーションしなければならない、大型かつ複雑な精密パーツには特に重要である。