ASMPT 社、質の高いモーションコントロールのためにレニショーを選択
半導体アセンブリ/パッケージング機器の進化に取り組み、幅広い半導体用途の産業オートメーション用ソリューションを提供している ASMPT 社。
同社は 30 か国以上で事業を展開しており、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカに研究センター、生産施設、販売拠点を有している。最近では、ターゲットを絞った企業買収を通じて事業を拡大。ALSI、AMICRA、NEXX、AEi チームなどいくつかの機器ブランドを加えて、顧客に幅広いプロセスソリューションを提供している。
人工知能 (AI)、電気自動車、モノのインターネット (IoT)、モバイル通信、クラウドコンピューティングといった新技術の台頭を受け、半導体需要が大きく高まっている。
エレクトロニクスおよび半導体プロセス装置の大手メーカーとしての卓越した市場洞察力を持つ ASMPT 社は、新たな、そして厳しい市場要件を満たすために業界固有の装置を積極的に導入しており、半導体プロセス装置の世界大手メーカーの中で一貫して上位を保っている。
同社とレニショーのパートナーシップは、今年で 25 年目を迎える。両社は、エンコーダ、カスタムソリューション、品質管理のための機械テストなどの分野で豊富な共有経験を蓄積し、緊密なビジネス関係を構築してきた。
課題
今日のパッケージング装置やアセンブリ装置には、位置の精度と安定性、装置自体のサイズと重量、品質管理、そしてスループットという点で極めて高いレベルが要求されている。モーションコントロールにおいて非常に重要な役割を果たす要素のひとつが位置決めエンコーダであり、サプライヤ各社は市場で求められる厳しい要求に応えるために、新技術を開発し、画期的な技術を導入していく必要がある。
アセンブリ/パッケージング機器の領域では、適切なエンコーダを選択することが肝心である。ASMPT 社では、購入者が考慮すべき必須事項として次の点を強調している。
速度
高速動作が求められるの傾向が強まっている。アナログエンコーダとデジタルエンコーダにはそれぞれ長所があり、アナログエンコーダは高速性が求められる場面に適しており、デジタルエンコーダは、低ノイズで高分解能の位置測定を得意としている。
ジッタ
高精度な位置決めには、機械が動いていないときに位置データのノイズ (ジッタ) が少ないことが求められる。エンコーダ信号のジッタが低いと、リニアモータにおける発熱量が減り、モーションコントロール性能が向上する。
寸法
スペースに制約のある場面では、リードヘッドとインターフェースができるだけコンパクトである必要がある。
安全規格への適合
国際安全規格への適合は不可欠である。エンコーダには、EMC (電磁両立性) や RoHS (有害物質の制限) などの性能基準および規制に適合しているかテストを実施する。ケーブルにも、厳しい電気的および機械的な寿命のテストを行う。
エンコーダは、モーションコントロール時に細かいフィードバックを行うためだけでなく、安定した位置を保つためにも必要です。これは、コントローラとエンコーダの両方にとって大きな課題ですが、私たちがレニショーさんの能力を疑ったことは一度もありません。
ASMPT 社 (シンガポール)
解決策
インクリメンタルエンコーダの ATOM DX および VIONiC、アブソリュートエンコーダの RESOLUTE など、さまざまなレニショー製品を ASMPT 社では長年採用している。これらのエンコーダは、ASMPT 社の INFINITE (一般的な IC (集積回路) パッケージング用に設計された 12 インチダイボンダ) を含む各種アセンブリ/パッケージング機器で使用されている。
この先進システムには、高精度な分注制御や、ミクロンレベルの精度で接着剤の厚さを測定する検査機能など、画期的な特徴がある。
厳しさを増す市場のニーズに応えていくうえで、モーションコントロールシステムには優れたエンコーダが欠かせない。

ASMPT 社の INFINITE
例えば重要なのがリードヘッドとインターフェースのサイズである。半導体製造の後工程はシリコンウェハ作成後の最終工程であり、ダイボンディングやワイヤボンディングなどがある。
後工程装置が最大 20 個のリードヘッドを収容できることを考慮すると、機械設計内でこれらのインターフェースが占めるスペースの影響を最小限に抑えなければならない。

ASMPT 社の Senior R&D Director を務める Joseph Choy 博士
「最先端のパッケージ製造装置の用途に求められる要件を考慮すると、熱膨張しにくい材料を加工ヘッドに使用することが絶対条件となってきています」と、ASMPT 社 の Senior R&D Director である Joseph Choy 博士は説明する。
「しかし、これらの材料は一般に重いため、精密可動部品の重量が増し、イナーシャの制御に課題が生じてしまいます。レニショーさんの ATOM DX エンコーダのおかげでこの問題が解決し、占有スペースを大幅に削減できました。合わせて、当社の機器設計の幅が広がりました」
ATOM DX は、内挿分割処理および光学フィルタリング機能を小型パッケージに内蔵したエンコーダであり、リードヘッドからデジタル信号を直接出力する。リードヘッドは、最小サイズが 20.5mm×12.7mm×7.85mm と非常にコンパクトで、インターフェースが不要で非常に狭いスペースに設置できるため、ASMPT 社の機械での大幅なスペース節約に貢献している。
また、最高分解能 2.5nm を誇り、周期誤差や信号ジッタが低いことも強みである。
メンテナンス作業を効率化するために、精密半導体製造装置は、モジュール内のエンコーダリードヘッドからケーブルを取り外せる設計を採用していることが少なくない。
これらのケーブルは、中間コネクタを経由してコントローラに接続される。この設計により、障害が発生してもモジュール全体を速やかに交換できるため、ダウンタイムが最小限に抑えられる。レニショーでは、多様なコネクタの各種エンコーダケーブルを展開している。
例えば、小型の LEMO コネクタや、ユーザーの独自要件に応じて任意で構築できるフライングリードなどである。
今後の市場動向について、Choy 博士は次のような見解を述べる。
「エンコーダの仕様は、高速化、高分解能化、ジッタ低減へと進化していくことが予測されます。エンコーダは、モーションコントロール時に細かいフィードバックを行うためだけでなく、安定した位置を保つためにも必要です。これは、コントローラとエンコーダの両方にとって大きな課題ですが、私たちがレニショーさんの能力を疑ったことは一度もありません」
システム診断
通常は、リードヘッドに搭載されているセットアップ LED を目安にするだけで取付けを完遂できる。取付けが困難な状況では、高度診断ツール (ADT) を使ってエンコーダのステータスデータをリアルタイムに取得することで、取付けを容易に行える。また、診断にも有効である。ADT は、ハイエンド機器モデルを中心に、ASMPT 社の機器開発と生産工程において大きな役割を果たしてきた。
「レニショーさんの ADT のおかげで、エンジニアがエンコーダの取付け状況を速やかに把握することができます。それに複数位置での信号強度のばらつきを評価して問題の根本原因を特定することもでき、本当に助かりました」と Ir George Chan 氏 (ASMPT 社の Technical Manager) は語る。
インダストリ 4.0 の時代、市場にある多くの機器に自己診断機能が搭載されており、潜在的な機器の問題を特定し、障害の原因を追跡するのに役立っている。レニショーの ADT は、ADT View を実行している PC に接続することで、エンコーダからリアルタイムデータを取得できるようになっている。
製品の安全性
最高水準の製品安全性を確保することは、ASMPT 社にとっての最重要事項である。同社は、製品の安全性と品質を保証するために、現地の規制や基準 (RoHS、EMC、REACH、IEC など) とその他該当する安全認証に準拠することに注力している。異なる国や地域で製品コンプライアンスを確保することには分野横断的な性質があることから、検証プロセスは常に見直しを実施している。
レニショーは部品サプライヤとして ASMPT 社と緊密に協力し合い、詳細な検証文書とサポートを提供している。Ir. George Chan 氏がさらに詳しく説明する。
「レニショーさんのエンコーダは、安全性、安定性、信頼性を一貫して実証してきたうえに、ニューモデルも抜群の性能を発揮してきました。テクニカルチームはコンプライアンスに関して豊富な知識を有しており、英国から香港にエンジニアを派遣して私たちをサポートしてくれました。彼らが提供してくださった貴重で実用的なソリューションに非常に感謝しています」

ASMPT 本社
具体的には、機器が動作中に最高の性能を発揮できるよう、XL-80 レーザー干渉計を用いて検査とキャリブレーションを行っている。
XM-60 マルチアクシスキャリブレータは、1 回のセットアップで 6 自由度の誤差を同時に測定できるシステムである。各製造装置の精度レベルと加工能力の把握に、ひいては、リソースの効率的な割当て、装置の安定稼働そして生産効率の拡大に役立っている。
最後に
アセンブリ/パッケージング機器の製造は、品質管理と生産性に関する大きな課題に直面している。
品質管理を実践することで、仕様と信頼性基準を満たし、プロセスの一貫性を保証し、欠陥とばらつきを最小限に抑えられることから、製造装置の製造に際しては品質管理を欠かすことはできない。
ASMPT 社では、レーザーシステム、位置決めエンコーダ、キャリブレーション製品などさまざまなレニショー製品を使用している。
同社は、新技術の台頭による半導体需要増に対応するための新製品を導入した。計測機器メーカーとして同社と長年タッグを組むレニショーは、品質管理、エンコーダ、そしてカスタムソリューションに関する豊富な経験を提供している。
例えばエンコーダ製品では、ATOM DX 超小型インクリメンタルエンコーダ、VIONiC インクリメンタルエンコーダ、そして RESOLUTE アブソリュートエンコーダである。また高度診断ツール (ADT) も、エンコーダの取付けと診断において重要な役割を果たしている。
ASMPT 社ではさらに、製造、検証 (V&V)、およびメンテナンス中の精度チェックに、レニショー XL-80 レーザー干渉計、XR20 回転軸割り出し角度測定装置、および XM-60 マルチアクシスキャリブレータを使用しており、製造用装置の性能および効率のレベルを最適化している。

光学式エンコーダ