Yuzhong 社、工作機械の精度をレニショーエンコーダで向上
課題

中国河南省にある Nanyang Yuzhong Precision Machinery 社 (以下 Yuzhong 社) は、高精度 CNC 工作機械の開発と製造を専門としている企業である。同社は、航空宇宙、金型製造、精密機械などの産業が求める厳しい要件に応えるため、革新的なソリューションの創出に取り組んでいる。
Yuzhong 社は充実した設備を有し、立形旋盤、立形 5 軸ミルターン機などの年間生産台数は 1000 台近くに及ぶ。
同社は、高精度機を開発するうえで高性能モーションコントロール技術が必要であることや、温度ドリフトの補正、振動耐性、安定性の向上などいくつかの課題を抱えていた。
その中で主な課題のひとつが、機械の精度に影響を与えうる、温度ドリフトである。温度ドリフトの対策としては、低熱膨張のエンコーダスケールを使用したり、アクティブな熱補正を用いたりすることが多い。また温度ドリフトの対策だけでなく、過度な振動は加工精度の低下や時間の経過に伴う摩耗を招きうるため、振動に対する耐性も重要である。
工作機械は、長期間にわたって同じ性能品質で保たれなければならないため、長期的な安定性もまた必要不可欠な要素である。そのためには、高品質な素材とコンポーネントを使用し、最適なレベルで工作機械が稼働し続けられるよう、定期的なメンテナンスとキャリブレーションを行う必要がある。
上記のような課題への対処は、特に要求の厳しい複雑な用途環境において、CNC 工作機械の精度と信頼性を確保するうえで極めて重要である。
解決策

研究と開発に 7 年を費やした後、Yuzhong 社は高剛性 5 軸ミルターン機 MT シリーズを 2024 年にリリースした。直線軸を 4 軸有し、Fanuc および Siemens コントローラとの互換性を備えた MT1000 は、各直線軸に位置測定分解能 1nm のレニショー FORTiS-S クローズドタイプリニアエンコーダを搭載している。FORTiS を搭載したことで、機械の測定繰り返し精度、信頼性、安定性が大幅に向上している。
搭載しているリニアエンコーダのスケール長は 440mm~1,340mm であり、主軸には直径 300mm のレニショー RESOLUTE™ ロータリアブソリュートエンコーダを組み込み、±0.001°の割出し精度を達成している。
FORTiS は、工作機械などの過酷な環境下での使用を想定して設計されたエンコーダである。DuraSeal™ リップシールとエンドキャップにより、液体や固定による汚染に対し高い耐性を発揮する。また、同調質量ダンパーによってクラストップレベルの 30G を超える振動に対する耐性を備えており、過酷な環境でも安定して測定を行うことができる。さらに FORTiS の内部機構には非接触設計を採用しているため、ベアリングやホイール付きのリードヘッドキャリッジといった可動パーツが内部になく、ヒステリシスやバックラッシュによる位置誤差が抑えられており、全体的な信頼性が向上している。
上記のようなエンコーダにより、最高分解能 1nm、最高速度 4m/s での高精度位置測定が実現している。

FORTiS の取付け作業は、リードヘッドに搭載された LED と専用のアクセサリによって、1 軸あたり 5~10 分と非常にスムーズに完了した。従来のようなクローズドタイプエンコーダとは違い、FORTiS はダイヤルゲージや外部の診断ツールを使用しなくても取付けが可能である。
Yuzhong 社の Chairman である Geng Xing 氏は以下のように述べる。「FORTiS の設計は非常にありがたいと思っています。取付けが簡単というだけでなく、たくさんの独自設計が組み込まれており、印象的です。例えば、二重のリップシール、同調質量ダンパー、非接触設計がそうですね。おかげで工作機械の精度とパフォーマンスが向上しましたし、それに寿命も延びました。
Yuzhong 社が自社の CNC 工作機械のパフォーマンスを強化するうえで欠かせない役割を担っているのがレニショーの FORTiS だ。Xing 氏によると MT1000 の加工精度は±4µm から±2µm 以下に改善した。
「レニショーさんのアフターサービスはレスポンスも早く、非常に優秀です。レニショーエンコーダを初めて買ったとき、とても驚きました。当社の機械の精度はリニアエンコーダなしでも±4µm でしたが、FORTiS を導入したことで±2µm 以下に向上しました。機械の加工精度と安定性の大幅な改善につながりました」

上記のような精度と安定性の向上により、MT1000 はハイエンド分野で求められるような複雑な加工タスクにも対応できるようになった。
Yuzhong 社は、エンコーダの取付け作業円滑化のために、高度診断ツールである ADTa-100 を使用している。PC に接続することで、軸に沿った信号強度などの主要なエンコーダの性能指標をはじめとした、より具体的な診断情報をソフトウェアの ADT View 上でグラフなどで視覚的に確認できる。また、取付けデータを恒久的な記録として保存できるため、工作機械メーカーにとってもエンドユーザーにとっても有用なツールと言える。
FORTiS の画期的な設計、取付けのしやすさ、診断用周辺ツールにより、Yuzhong 社は一貫した加工品質を維持することができるようになり、MT1000 が、厳しい公差や優れた表面仕上げを必要とする用途に向けた信頼性の高いソリューションとして位置付けられるようになった。
スマート製造やインダストリ 4.0 へのトレンドが加速する中、Yuzhong 社は CNC 工作機械市場における高まる需要に応える体制を整えている。レニショーの FORTiS を導入したことで、自社の CNC 工作機械の性能向上が実現した。FORTiS は今後、革新と卓越性に向けた同社の取組みを、信頼性が高く効率的なソリューションとして支えていく。
PDF のダウンロード
-
Yuzhong 社、工作機械の精度を レニショーエンコーダで向上
[1.4MB]