キャリブレーションサービスプロバイダが駆使する高精度ソリューション
大企業だと、キャリブレーションを実施するための専門チームがあることが多い一方で、外部委託に頼る中小企業にとってはその関連コストが高額すぎることもある。しかし、キャリブレーションサービスプロバイダが増えるにつれて、費用対効果の高いキャリブレーションサービスが、精密機器の最適な性能を確保するためのソリューションとして広まりつつある。
Micro-check Calibration Pvt. Ltd. (以下、Micro-check 社) は、インドに拠点を置くキャリブレーションサービスプロバイダである。レニショーの最先端キャリブレーションシステムを使用して、インドの機械メーカーや、輸入工作機械設備などの大型工作機械のエンドユーザにさまざまなキャリブレーションサービスを提供している。
2016 年から XL-80 レーザー干渉計、QC20 ボールバー、XR20 回転軸割り出し角度測定装置といったレニショー製品を使用している。最近では、XK10 アライメントレーザーシステムも導入してサービスを拡張し、顧客に対する提案力が一層向上した。

XK10 アライメントレーザーシステムの使用
Micro-check 社は今年、レニショーの XK10 システムを導入した。XK10 の多機能性を活かし、工作機械、オートメーション、ロボット、電気めっき、航空宇宙分野に加え、より専門的な領域の顧客もサポートするようになった。例えば電気めっき業界では、XK10 システムを使用して、ピストンロッドの硬質クロムめっきにおける材料の厚みムラを解消する保持固定具の共平面性を測定している。また、XK10 を使用して、機械、プレス、クレーンなどによる振動や水平/垂直運動をチェックすることで、機械ベースの剛性を評価することもできる。XK10 は、機械自体の構造内の変位と歪みを、システムの軸の動きから測定する。
真直度、直角度、平面度、水平度、そして主軸の同軸度および方向などを測定できる。同社は XK10 を広く運用し、キャリブレーションサービスの実績としては機械 150 台を超えるに至った。

測定範囲というメリット
従来の測定方法 (直角定規、ダイヤルゲージ、オートコリメータなど) は、手作業に依存しており、ミスが発生しやすいため、信頼性という点で懸念がある。これに対し、XK10 システムはレーザー技術を活用しており、効率的に長距離測定を行うことができる。Micro-check 社では、XK10 システムを使用して、25m の土台の平行度と垂直真直度をわずか 45 分で測定したケースもある。仮に直角定規 (長さ 2m 程度が典型的) で同じ測定を行っていたら、何度もセットアップしなおす必要があり、効率が低下していたであろう。
Micro-check 社で Managing Director を務める Sunil Navale 氏は、工作機械業界で 35 年以上にわたる設計、組立て、テスト、メンテナンス経験を持つベテランである。
Micro-check Calibration 社 (インド) で
Managing Director を務める Sunil Navale 氏
データスティッチ機能
レーザー測定には利点があるが、実際の環境では、空気の乱れによって測定結果にノイズがのり、結果の再現性が大きく低下することがある。空気の乱れの大きさは、測定環境によって変わる。環境を厳密に制御しようとすれば費用がかさむため、すべての顧客が制御できるとは限らず、できない顧客も存在する。XK10 のラウンチユニットと M ユニットの間の距離が長いほど、空気の乱れが測定に及ぼす影響が大きくなる。

そこでレニショーでは、実際の使用環境を鑑み、この課題に対処するためにスティッチ機能を開発した。レニショーの CARTO ソフトウェアに実装されたデータスティッチ機能は、複数回の短い距離の測定を組み合わせることで、高い精度と繰り返し精度での長軸測定を可能にした。具体的には、XK10 のラウンチユニットと M ユニットの間の距離を、空気の乱れの影響を受けない長さに抑え、各ユニットを移動させて残りの各セグメントを測定する。そして CARTO 上で、短い測定の測定結果を結合し、長い測定の測定結果として出力するのである。
シンプルで直感的なユーザインターフェース
XK10 システムのユーザインターフェースは、測定作業の操作手順を詳細に示し、作業をガイドする作りになっている。手順自体は簡単で、オペレータがシステムの機能に慣れるのも容易である。XK10 のタブレットにはテスト中、測定データとテスト図が常時リアルタイムで表示され、測定が完了すると詳細な測定レポートが生成されて表示される。このレポートは、PDF および XML エクスポートすることができる。
Navale 氏は次のように述べて、XK10 システムの操作の柔軟性を強調する。「タブレット上で測定タスクを切り替えるだけで、データを確認できます。非常に直感的で使いやすいユーザインターフェースです。最も大事なのは、XK10 が全体的な生産性の改善に役立つということです。特に機械の組立段階では、潜在的な問題を特定して速やかに解決して、時間を短縮し、プロセスの効率を高めてくれます」

可搬性
XK10 システムは、タブレット、S ユニットおよび M ユニット間でワイヤレス通信可能なツールであり取回しが容易である。また、30 時間のバッテリ動作が可能である。そのため、ツールを定期的に顧客の工場に持ち込む必要のある Micro-check 社のようなサービスプロバイダに非常に適している。
XK10 の各ユニットおよびフィクスチャキットは、キャリーケースに入っており、持運びが容易である。
解決策
Micro-check 社は、機械のキャリブレーションサービスとレポートの提供だけでなく、精度誤差の原因特定、予知保全の実施、機械性能最適化プログラムの開発といった、顧客の機械の全体的な性能の分析と改善計画の提案も行っている。同社のこれらのサービスを支えているのが、XK10 アライメントレーザーシステムをはじめとするレニショーの高品質キャリブレーション機器である。
XK10 は、Micro-check 社が顧客の機械の矯正と予防メンテナンスのために購入した 3 番目のレニショー製キャリブレーションシステムである。機械の性能を診断し、潜在的な問題と機械誤差を検出する目的では XR20 回転軸割り出し角度測定装置と QC20 ボールバーを使用し、完成した機械のキャリブレーションに XL-80 レーザー干渉計を使用している。そして、機械の組立て時と土台の測定に XK10 を活用している。
Navale 氏は次のように締めくくる。「当社は、お客様がそれぞれの機械の性能をよく理解できるように、必ずお客様と一緒にメンテナンスレポートを精査しています。製造業のお客様ですと、それぞれの機械の性能を明確に理解し、適切な機械に作業を割り当てて効率を最大化しているところもあります」