40m の複合パーツの正確な加工を可能にするレーザーエンコーダテクノロジー
Flow International Corporation の CMC(複合マシニングセンター)では、長さ 40 メートルの複合ウィングスキンを単一セットアップで処理することができますが、1 週間に渡るこの加工サイクルにおいて、長い軸を維持する上での鍵となるのが、レニショーの HS10/HS20 レーザーエンコーダです。レーザー干渉計の精度で距離を計測できるこれらのエンコーダと付随するRCU10 リアルタイム補正装置は、CMC の X 軸で ppm 単位の位置決め精度を実現します。
Flow の CMC は、寸法偏差を低減しながら大規模な一体型パーツを製造する航空産業のニーズに応えるために設計された新しい工作機械です。Flow の航空部門担当取締役のマーク・サバートン氏は、次のように説明します。「航空産業全体を通して、パーツの偏差を低減するという目標があります。これにより、アセンブリ時間と手間、ツーリングを省くことを目指しています。OEM では、製品の重量とプロセス時間を増やすアセンブリのシム作業を排除することを望んでおり、冶具やシムを使用してパーツを公差内に収めるのではなく、アセンブリプロセスに到達するパーツが既に公差を満たすようにすることを望んでいます。重量も問題になり、航空機パーツの偏差が少なければ、航空機の最終重量の管理もしやすくなります。」
Flow の CMC は、オートクレーブ処理された複合パーツのワンストップ処理センターとして製作されました。これは、ミッドレールガントリーまたはデュアル移動コラム機として設定することができます。ガントリー設計では、1 つのガントリーに 2 つのラムを配置し、各ラムにはそれぞれ 5 軸リストを配しています。ラムは、高圧ウォータージェット切削用と従来式の高速ルーティング用です。CMC は、トリミング、穴あけ、表面削り、マーキング、検査など、ウィングスキンに対するすべての最終加工を単一セットアップで行うことができ、ここで仕上げられるパーツはアセンブリの準備が整った状態のパーツです。この機械は、世界中のエアバスのパートナー企業によって広く使用されています。
CMC は、X 軸の標準長が 6 ~ 50m のものに加えて、カスタムサイズのモジュラー式のものが利用できます。「我が社では、X 軸に常にテープスケールを使用してきましたが、長さ 30 ~ 50m の物理スケールを機械に取り付けて使用する場合には、構造上の問題が発生するだけでなく、熱補正もかなり難しくなります」と Flow のシニア電気プロジェクトエンジニアのトッド・フックス氏は説明します。「130 時間に渡る加工サイクルでは、機械の 40m の長さで発生する温度偏差は、空気調整を行った工場でも比較的大きなものになることがあります。スケール自体と機械の母材の間の変化のために、偏差が非常に複雑になります。このような長い軸上で正確なフィードバックを得るには、HS20 レーザーエンコーダを使用するのが最も簡単な方法です。」
ガントリーの各サイドにラック&ピニオン駆動機構を配したこの CMC は、X 軸のスプリットフィードバックを使用しており、各サイドのレーザーが位置決め上マスターとスレーブとして機能します。レーザーは、駆動系の近くのアコーディオンカバーの下の清潔な乾燥気が流れるダクト内に配されているため、計測の安定性を保証すると同時に、レーザービームを遮断するような空気中の屑から保護されます。
Flow はレニショーの HS10 レーザーエンコーダとその後続の HS20 を 24 の機械軸に使用しています。機械への据え付けは、ドイツ、スペイン、フランス、英国でレニショーのエンジニアからのサポートを受けて行われました。これらのエンコーダは、工作機械のキャリブレーションスペシャリストが位置決め誤差計測と補正に使用するのと同じレーザー干渉技術を使用していますが、異なる点は、エンコーダがガラスやテープの取り付け具やリゾルバを使用せずに、機械に恒久的に取り付けられたスケールとして設計されていることです。
「我が社は、ヨーロッパの多くの国でレーザーを装備した機械を既に使用していますが、レニショーの HS20 レーザーエンコーダは、テープスケールよりも導入しやすいだけでなく、信頼性が高く頑丈です」とフック氏は付け加えています。「機械で高価値の重要パーツを切削するこれらの長い軸では、位置決め計測に最適なレーザー干渉計と同じ X 軸の位置決め精度が顧客から高く評価されます。RMP60 プローブと共に使用することで、顧客に真のメリットを提供することができます。」