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FORTiS™ でエアブローの使用量削減で、91%の省エネ効果

リニアエンコーダでエアブローを使用することには、信頼性を高める観点から多くの利点がある。だが、必要となる流量の乾燥した清浄な圧縮空気を生成するには、機械のライフスパンにわたって相当量のエネルギーが必要となり、エンコーダの総所有コストとライフタイム CO2e フットプリントに影響する。

リニアエンコーダにエアブローを使用する理由

エアブローを適用することにより、リニアエンコーダの防水防塵性能が向上する。異物がリップシールを通過し始めると、エンコーダエンクロージャ内の正圧によってその異物が押し戻される。エアブローは、液体および粒子状の異物の両方に効果的である。

FORTiS クローズドタイプエンコーダのエアブロー 図 1: 意図的にオイルを満たした FORTiS からエアブローによってオイルを排出している様子。

加えて、結露を防ぎ、機械の電源を OFF にして筐体の温度が下がっても、エンコーダが汚れた空気を「吸い込む」ことを防ぐ。そのメリットは機械の耐用期間を通じて続き、特に摩耗、切断またはクーラントに含まれる化学物質による化学的硬化によってリップシールが偶発的に損傷した場合に顕著である。

さらに、異物がエンコーダの筐体に入り込んだ場合でも、エアブローによって異物をもう一度排出することができる。図 1 に、意図的にオイルを満たし、1bar (0.1MPa) のエアブローが接続されている FORTiS エンコーダを示す。

エアブローによってエンコーダからオイルが排出され、良好な信号強度にまで回復してエンコーダは正常に動作する。

水系の汚染物質に浸かったエンコーダにエアブローを適用しても、同様の効果を得られる。上記に挙げたようなエアブローのメリットは、極めて過酷な条件下でも、機械の長期的な信頼性を確保するのに有効である。

エア圧の選定

エアブローは、単純に ON/OFF するだけではなく、機械の軸の要件に合わせてエア圧を調整する方が良い。

FORTiS には、DuraSeal™ と呼ばれる独自のリップシールを採用している。DuraSeal により、リードヘッドブレード周囲の密閉性が高まり、競合製品に比べてエアの損失が低減されるため、低いエア圧で効果的な密閉性を実現できる。

異物にさらされやすい軸、特にエンコーダに悪影響を及しやすい材料を加工する機械では、エア圧を最大の 1bar (0.1MPa) で使用することが推奨される。

ただし実際には、エンコーダが高い位置や加工領域から比較的離れた位置に配置してある機械が多く、このような状況では、エンコーダがその耐用年数を通じて異物にさらされることはそれほどない。

エアパージコストの比較 (FORTiS)図 2: のクローズドタイプ光学式エンコーダよりもエア消費量を抑制

そのため、少ない量のエアでよくなり、エアの使用量を抑えることができる。低流量のエアブローを適用するのは難しいことではない。まず、低圧での動作に適したエンコーダを選定する。次に、エアフィルタのレギュレータの圧力を下げ、エンコーダにおける圧力をチェックする。

具体的な節約の数値

密閉性の高い FORTiS なら、エアの流量を 7~10 リットル/分から 2 リットル/分に抑えられるため、FORTiS を採用するだけで、70~79% のエネルギー (および CO2e) 削減効果を見込むことができる。

また、流量を減らすことでエネルギー (および CO2e) 削減効果をさらに高めることができる。0.5bar (0.05MPa) のエア圧にすることで、節約効果は 84~89% になり、0.25bar (0.025MPa) に下げると、91~94% になる。

ブランド Aブランド Bエア圧 1.0bar の FORTiSエア圧 0.5bar の FORTiSエア圧 0.25bar の FORTiS
エンコーダのエネルギー (kWh)7.76.16777
エアブローのエネルギー (kWh)446.7312.789.344.722.3

総エネルギー (kWh)


454.4318.896.351.729.3
ブランド A に対する低減率 (%)30%79%89%94%
ブランド B に対する低減率 (%)70%84%91%

注:

1.1 シフト 8 時間を 1 日に 2 シフトで年間 350 日稼働する機械に取り付けたエンコーダの年間エネルギー使用量の例である。エアブローは 1 日 24 時間、365 日 ON したままとしている。

2.エンコーダは 1 シフト 8 時間を 1 日に 2 シフトで年間 350 日電源 ON としている。

3.エンコーダのエネルギーは、エンコーダメーカーが公表しているデータシートに記載された 5V 電源の仕様に基づき、注 1 および注 2 に記載の年間使用量を乗じて求めた。

4.7~10 リットル/分というエアの流量は、メーカーが公表しているエア使用量のデータシート仕様に基づく。

5.エアブローのエネルギーは、年間のエア使用量に必要なエネルギー量に基づいており、年間のエア使用量は、メーカーが公表しているデータシートに記載されたエア流量に基づく。この流量は、1bar (0.1MPa) で 1 日 24 時間、1 年 365 日エアを供給し続けた場合の値である。

FORTiS の場合、2 リットル/分の流量での年間エア使用量は、0.002m3/分×60×24×365 で 1051m3/年となる。ブランド A のデータシートでは流量は 10 リットル/分とあるため、年間のエア使用量は 0.01m3/分×60×24×365 で 5256m3/年となる。ブランド B のデータシートでは流量は 7 リットル/分とあるため、年間のエア使用量は 0.007m3/分×60×24×365 で 3679m3/年となる。

6.年間のエア使用量を得るのに必要なエネルギーの計算には、0.085kWh/Nm3 という代表値を使用した。これは、1.0bar (0.1MPa) のエア圧および 15℃の気温でコンプレッサが 1「標準立方メートル」の圧縮空気を供給するのに必要な標準値である (ISO 2533 を参照)。

エア圧を低圧にできる条件

それぞれの機械を評価するにあたっては、エンコーダが受ける汚染のリスクのレベルに基づく必要がある。以下の点を考慮する必要がある。

1.機械におけるエンコーダの位置。

2.加工領域とエンコーダの間の安全カバー/シーリングの度合い。

3.ワークの素材。

4.特定の工程で必要とされるクーラントの量。

エンコーダに当たる異物の量は、エンコーダの位置によって大きく変わる。一般に、機械が大型であるほど、エンコーダに当たる異物の量は減る。エンコーダの位置が加工領域から遠くなるからである。

最適なエアブローの手法は機械のタイプごとに異なる。以降のセクションにて解説する。

立形マシニングセンター

従来型のコンパクトな立形マシニングセンターの場合には、エンコーダがテレスコカバーの裏、加工領域のすぐ近くに配置されている。カバーによって、クーラントや切り粉がエンコーダに直接かかるのが効果的に防がれるが、時間の経過とともに、異物、特に粒子状の異物がカバーを通過してしまう。

この場合では、異物をエンコーダに寄せ付けないことは不可能であるため、エンコーダはそのような条件下で動作できる必要がある。エア圧は 0.5~1bar (0.05~0.1MPa) にするのが適切であり、特に鋳鉄、セラミック、ガラスまたは複合材料など研摩剤を多く含む材料を加工する場合には、最大エア圧の 1bar にすることが望ましい。
立形マシニングセンター

大型の立形マシニングセンターでは、X 軸と Y 軸が機械の高い位置にあり、加工領域から離れていることも少なくない。その場合は、エア圧を 0.25~0.5bar (0.025~0.05MPa) にしておくのが適切だろう。

横形マシニングセンター

横形マシニングセンター

横形マシニングセンターの場合、適切なエア圧は機械の構成によって決まる。特に、Z 軸に搭載したリニアエンコーダは、交換が難しく、異物への露出が多いテーブル下に位置する場合もあれば、交換が容易で、異物への露出が大幅に少ない機械内部の高い位置に位置することもある。

X 軸と Y 軸は異物から十分に遮蔽されているのが一般的だが、X 軸のリニアエンコーダはテーブル下に位置することもある。

テーブル下に位置する Z 軸または X 軸のリニアエンコーダには、0.5~1bar (0.05~0.1MPa) のエア圧が適切となる。機械の高い位置にある場合には、0.25~0.5bar (0.025~0.05MPa) まで下げることができる。

CNC 工具研削盤

CNC 工具研削盤は、機械のレイアウトがコンパクトな立形マシニングセンターと概ね似ている。工具研削では、大量のクーラントが使用され、非常に硬く砥粒の多い粒子状の異物が発生するため、1bar (0.1MPa) の最大エア圧が推奨されるケースがほとんどである。

CNC 工具研削盤
旋盤および円筒研削盤

旋盤および円筒研削盤

旋盤や円筒研削盤では、リニアエンコーダが加工領域の近くに位置することが多く、0.5~1bar (0.05~0.1MPa) のエア圧が適切である場合がほとんどである。エア圧を決める際は、エンコーダへのアクセスのしやすさ、クーラントの使用量、加工する材料の摩耗性を考慮する必要がある。

大型工作機械

門形機械や立形旋盤などの大型機械では、リニアエンコーダが加工領域から離れた場所に取り付けられているため、エンコーダが受ける汚染のレベルは低いのが典型的である。エア圧としては 0.25~0.5bar (0.025~0.05MPa) を採用することができる。

大型工作機械

エネルギー消費量を抑えるためのその他の方法

FORTiS™ クローズドタイプエンコーダと工作機械

1 日 24 時間、週 7 日使用されている機械は多くない。稼働していないときは、エンコーダの筐体内の正圧を維持するためにエアブローを ON のままにしておくのが通例である。正圧を維持しておくことで、結露の蓄積と、高温の機械が冷却されたときに発生する「吸い込み」効果を防ぐことができる。

FORTiS エンコーダを搭載した機械では、一晩、週末または工場の休止時間にエアブローを 0.25bar (0.025MPa) まで下げておいても、これらの影響を両方とも克服することができる。

ほとんどのリニアエンコーダ軸が異物から十分に保護されている機械も存在するが、それでも高リスクの軸が 1 本は存在する可能性がある。このような状況では、レギュレータをエアフィルタセットに追加で取り付けるとよい。高リスクの軸のエンコーダに 1bar (0.1MPa) でエアを供給し、低リスクの軸のエンコーダには低圧でエアを供給することができるようになる。

最後に

FORTiS は防水防塵性能が優れており、機械に搭載した際のエア圧を適宜、最適な量に抑えることができる。

流量を抑えることができれば、圧縮空気の消費量を削減でき、ひいてはそれに伴うエネルギーコストの削減にもつながる。これにより、エアブローシステムの使用がもたらす長期的な信頼性も維持できる。

リニアエンコーダはさまざまな CNC 機械に搭載されており、機種ごとに多くのタイプが存在する。詳細については、最寄りのレニショーオフィスまでお問い合わせのこと。

FORTiS と工作機械

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