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Halifax Numerical Controls 社が、レニショーのキャリブレーションソリューションで生産性向上とサービス拡大を実現

1998 年設立の Halifax Numerical Controls (HNC) 社は、先進のゴムおよび複合材ロール製造機械の世界的大手メーカーである。同社の幅広い製品ラインナップは、小型精密機械や印刷業界向けのローラから、鉱山や採石場で使用される巨大径のコンベアローラまで、実に多岐にわたる。

背景

設立当初、機械のレトロフィットと整備、そしてカスタム製作に重点を置いていたが、海外メーカーとの競争激化を受け、2009 年にゴムローラ市場のニッチ領域開拓に乗り出した。

以来、HNC 社は最先端の技術と豊富な工作機械エンジニアリング経験を活かし、ロール製造業界を劇的に変えてきた。同社の自動ゴムロール研削盤と溝入れ機のラインナップは、今や世界最先端の機械であり、生産の 80%を英国の工場からの出荷が占める。

Two operators setting up an XK10 alignment laser system

課題

HNC 社が研削盤を製作するうえで最も重要視しているのが、機械ベッドの正確なアライメントである。だがそのための専用装置がなかったため、かつては望遠鏡と釣り糸を使ってベッドの真直度を測定していたこともある。測定値を手作業で記録し、用紙にプロットする必要があったため、作業時間が長かっただけでなく、担当するオペレータの差や温度などが原因で測定精度がブレがちであった。

HNC 社は、機械製造工程の精度と効率を上げるために、軸の真直度、平面度およびアライメントを迅速かつ容易に測定および記録できるソリューションを導入したいと考えていた。HNC 社の Managing Director を務める Mike Diskin 氏は以下のように説明する。

かつてのプロセスは完全に時代遅れでした。2 名のスタッフに 12µm の公差でレールを作るよう依頼したとき、両者の測定結果の差が 5µm になることもありました。誰かが工場のドアを開けて風を入れると温度が急激に下がり、測定値がたびたび変わったことから、「ドアを閉めて!」という声が飛び交っていました。

Mike Diskin 氏 (HNC 社 の Managing Director)

解決策

1980 年代にまで遡る長年の関係から、Mike 氏は、レニショーが生産システムの製造とソフトウェアの質の良さで高い評判を得ていることを知っていた。MACH 2022 でレニショーのエキスパートと会い、ある製品の可能性について説明を受けた後、HNC 社はレニショーの各種キャリブレーション製品の導入に乗り出した。

  • 最初に導入したのは、XK10 アライメントレーザーである。真直度、平面度、直角度など機械の幾何誤差を正確に測定、記録できるシステムであり、機械の組立て時間の短縮と効率化に威力を発揮する。
  • 次に XL-80 レーザー干渉計システムを導入した。HNC 社がすでに保有していたレニショー ML10 レーザーシステムを軽量化した最新機種で、モーションシステムの測定とキャリブレーションを得意とするシステムである。
  • 3 番目は QC20 ボールバーである。レニショー QC10 ボールバーの後継機種で、工作機械の性能を、短時間で簡単かつ効果的に検証するワイヤレス機器である。

Machine operator with the XK10 alignment laser

XK10 alignment laser set up on a CNC machine


XK10 レーザーアライメントシステムは、HNC 社の機械キャリブレーションプロセスの効率化で大きな役割を果たした。「XK10 アライメントレーザーを使い始める前は、望遠鏡で測定し、手作業で記録するのに 4 時間くらいかかっていました。今では同じ作業を 20 分ほど終わることができ、グラフの印刷もできるようになっています」(Mike Diskin 氏)

レニショー製品の導入により、効率化だけでなく、測定しながら調整できるようにもなり、予防的なメンテナンスもできるようになりました。例えば QC20 ボールバーから得られる診断情報は、予知保全に有効である。「ボールバーテストを毎月行えば、例えば 6 か月後にこのボールねじの交換が必要かもしれないという予測が立ちます。助かりますね」(Mike Diskin 氏)

HNC 社は、レニショーの現場トレーニングを活用したことで、立ち上げから稼働までが速やかに進んだ。各レニショー製品は持ち運び可能であることから、同社は今、アライメントとキャリブレーションのサービスを他のメーカーにビジネスとして展開することを計画しており、新たな収益源の開拓を目論んでいる。

まとめ

XK10 アライメントレーザーシステムをはじめとするレニショーのソリューションが、HNC 社に大きな好影響を与えた。機械のアライメントに要する時間が、4 時間からわずか 20 分へと劇的に短縮し、機械の製造プロセスの効率化が進んだ。また、測定結果を機械ごとに記録できるようにもなった。

また、新しいビジネスの可能性も生まれた。「近い将来、このサービスをお客様に提供する計画があります。この事業のために別部門を設立しようと考えています」(Mike Diskin 氏)

HNC 社の顧客にとっても、これらの改善によるメリットは大きい。機械の納期が早まるだけでなく、既存機のアライメントに関する問題も HNC 社に速やかに診断してもらえるようになっている。

HNC 社は、レニショーの最先端測定システムに投資することで自社の機械アライメントプロセスを効率化し、精度を高め、さらには新たなビジネスチャンスを開拓した。新たなツールを導入したことによる HNC 社での改善の結果は、優れたものづくりを実現するうえで精密測定が果たす役割を示す格好の事例と言えるだろう。

Mike Diskin 氏 (Halifax Numerical Controls 社 の Managing Director)

その効果はすぐに現れました。以前はベッドのキャリブレーションに、優に半日かかっていましたが、今では 15 分でできるようになり、さらに 5 分で測定値を記録し、グラフ作成までできてしまいます。グラフにする必要すらなく、必要ならリアルタイムで行うこともできます。そのため、貴重な午前中を占有していた作業が今では 20 分です。作業を効率化し、信頼性が高まっただけでなく、測定結果をデジタルで記録できます。

Mike Diskin 氏 (HNC 社 (英国) の Managing Director)

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